昨年末、その山上にある墓地は、辺りを取り囲む木々の枝葉が枯れ落ち、寂寞としていた。くすんだ景色が広がるなかで遠目からでも目を引いたのが、まばらに並ぶ墓石の一つにかかっていた、肌色をした生々しい卒塔婆だった。